コロンブス 永遠の海

eupketcha2010-05-16


世界最高齢映画監督マノエル・ド・オリヴェイラのCristovao Colombo o Enigma岩波ホールで観てきました。御年101歳、僕より4倍ほど長く生きている人の映画を語るのもおこがましく、大変畏れ多いわけですが、コロンブスは実はポルトガル人だったという世界ふしぎ発見的ミステリーを追って1946年から2007年にいたるある意味、一生ミステリーハンティングな夫婦の壮大な大河ドラマを、『あっと驚く短さ』で描ききる超絶ミニマル演出の削りに削りとった素晴らしさを、そしてこんなにも短いのに1分近く裂かれる雲や海の美しさを、語らずにはいられません。あるいは嘘のようにひらめく国旗の映画的意義を、はたまた幽霊のように登場するポルトガルの国旗の色をした服と剣を持つ女性のほほえみを。こういったいかにもオリヴェイラ映画的な映画の至福に加えて、更に見所となっているのは、マノエル自身とその本当の妻が、本当の夫婦役として画面上に登場し、夫婦で愛を語り合ったりしちゃってるところです。マノエル爺さん可愛くて可愛くて、思わずニヤニヤしてしまいます。このニヤニヤ感は、いつものオリヴェイラ映画と違うもので、実に新鮮でした。パンフを見ると、この後も精力的に映画を撮り続けておられ、まだ日本で未公開のものが3本近くはあるようです。すげえ。