オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ

僕は高校の頃、夜に生きたい、しかもそれはナイトクラブに行きたいとか、夜遊びしたいとかいうのではなく、ただ静かで美しい夜に、(家族のしがらみということもなく、)生きたいと思い、夜の町を徘徊すらしたこともあったが、この映画はそんなことを思い出させてくれたものである。夜の撮影は映画の鬼門であり、夜の美しさを映画に焼き付けるのは本当に大変なことだが、ジム・ジャームッシュ監督は見事なまでの撮影でやってのけ、夜に怪しく輝くベニテングダケとか、犬だとか、闇夜に浮かぶデトロイトの街だとかが、実に心地よいテンポで登場してくる。音楽も流石である。そして吸血鬼の伝統へラスト回帰していく点も、吸血鬼映画ファンにもたまらないものとなり、全体として不思議と胸に焼き付く映画であった。
ところで、ティルダ・スウィントンって一体どんだけ僕の見たい映画に出るんだろうかって思う。確か、タルベーラにも出てた。今後もスノーピアサーや、ウェスアンダーソンの新作などでも見かける予定だ。