映画

ヴァージニア

最近ちょっとコッポラを観てみようという気分で「胡蝶の夢」「カンバゼーション」に続いてこちら観ました。面白かったです。コッポラが本気でB級ゴシックホラーを作ったといった解釈です。エドガー・アラン・ポーへのオマージュが主題と思いますので、造詣の…

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ

僕は高校の頃、夜に生きたい、しかもそれはナイトクラブに行きたいとか、夜遊びしたいとかいうのではなく、ただ静かで美しい夜に、(家族のしがらみということもなく、)生きたいと思い、夜の町を徘徊すらしたこともあったが、この映画はそんなことを思い出…

かぐや姫の物語

(ネタバレ注意) 竹取物語が原作というので一歩ひき、絵のタッチがああいう風だというので一歩ひき、上映時間が2時間を越えるというだけでまた一歩ひき、宮崎映画は好きだが、高畑映画はちょっと、、とまたまた一歩ひいてしまっていたが、評判がいいので、…

ゼロ・グラビティ

(ネタバレ注意) アルフォンソ・キュアロン監督の映画 2013年12月31日 銀座で。原題はgravityなので、zeroはつかない なぜzeroをつけたのか ということはどうでもいいが どうしてgravityという無機質なタイトルでよかったのか、もう少し誰か英語の詳しい向…

「風立ちぬ」

記録的猛暑の中、ついに観て来た、「風立ちぬ」。本当に素晴らしい映画だった。何度も涙腺がゆるみ、鑑賞後席をなかなか立てなかった。演出も脚本も、素晴らしく、非の打ち所があまり感じられなかった。これで、面白くないと言う人が結構まわりにいるし、世…

アウトレイジビヨンド

アウトレイジビヨンド観ました。ラストの唐突なカタルシス感、さすがこの監督という感じです。松重さんのアフレコっぽい声の入り方、刑務所の前のシーンのやや不思議なカメラの動き、服を抜いで次のシーンではもう来ているジャンプカット、など何か暴力以外…

「トスカーナの贋作」と「東京公園」

どうでもいいことだが、私の父は小津安二郎監督作品が嫌いで、笠智衆さんの演技が嫌いだ。その反動からか、大学時代には小津作品はこんなにも面白いものか、これが嫌いだなんてどういう感性だとすら思いながら、笠智衆の「ありがと、ありがと」に感極まって…

 プロメテウス

エイリアンとブレードランナーはやはり凄いと思うが、それ以降のリドリースコットに今一つピンと来るものはなかった。印象でしかないが、どうも色の使い方が好きになれなくて、歴史ものでも妙に金属的な青が重なっていて、どうもしっくりと来ていないなと思…

 私が、生きる肌

私事ながら、30になりました。30になって一発目の映画がアルモドヴァルでした。 内容を言ってしまうといけない、けど言いたくてたまらない。美醜まみえる強烈なドラマツルギーというか、何かこう、楳図かずお読後感に似たものを感じます。アルモドヴァルのド…

スリ

最近ようやく観たかった映画DVD大人買いが本格化してきた というか昨日鞄をなくした腹いせに紀伊國屋でDVDを3個購入して遣ったぜ 俺はやってやったぜ これが大人だぜ ああ言ってて哀しい で、今まで観たくても観る気分になれなかったブレッソンの「スリ」(pi…

ブラック・スワン

ナタリー・ポートマンがラストクライマックス直前に黒鳥を踊るところが凄くて、なんかここを見せるために奇妙なお膳立てをした映画にすら思える。そして奇妙なお膳立てであったがゆえにああ終わらせざるを得なかったのかもしれない。大変怖い映画だが、怖い…

ヒアアフター

(東北地方太平洋沖地震で被災された方に心よりお見舞い申し上げます。現場で支援にたずさっている方、本当にお疲れ様です。)地震の起こる直前に、今は上映中止となっ(てしまっ)たヒアアフターを観た。イーストウッドの演出力の安定感は既に神のレベルで、も…

ゴダール・ソシアリスム

今年の1月1日に見たんだと思う。正直映画の内容はほとんど覚えていないし、覚えていてもほとんど語ることは出来ないだろうが、まあいつも通りのことなんだが、僕がゴダール映画の何が好きかというと、登場人物の画面の中の動きである。あるいは、話が難解な…

ゲゲゲの女房

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。相次ぐミニシアター閉館の情報に、寂しい限りのスタートです。最近の若者はシネコンばかりで、単館系観に行くのは若い頃行っていた中高年ばかりになっているのが現状だとか。最近の若者のつも…

クリスマス・ストーリー

アルノー・デプレシャン新作、恵比寿ガーデンシネマで観てきました。期待以上に素晴らしかった。ざくざくとしたカット割り、縦横無尽なカメラの動き、独白・回想などあらゆる文法を、映画的手法を、脈絡なく(実はあるのだけれども一瞬脈絡を感じない)投げ…

ぼくのエリ 200歳の少女

今年観ていたけど感想落としていた映画シリーズ、スウェーデンの映画はじめて観たのは今年スウェーデンに行ったからです、ただの自慢です、すみません。少年少女の純愛ってそもそも理解しがたい上に、少女が吸血鬼という非現実をいかに説得力を持って表現す…

シャルロットとジュール

ブロンド少女と同時併映されていたゴダールの短編。狭い部屋に二人の俳優を置いて、次はああしよう、次はこうしようっていう感じで作られた映画だと思う。きっと作るの楽しかったろうな。突然窓から飛び出したり、扇風機と戯れたり。 何で併映に選ばれたのか…

ブロンド少女は過激に美しく

マノエル・ド・オリヴェイラの新作、ブロンド少女は過激に美しく(Singularidades de Uma Rapariga Loura)を観てきた。 何と言っても、汽笛の音から導入される目の覚めるような冒頭の心地よさを過ぎて、オープニングロール、画面の左下隅で心理的に追い詰めら…

ナイト&デイ

こういう映画も観ます。というかジェームズ・マンゴールド監督の映画は何か気になります。ハリウッドアクションの伝統的な何でもアリ感を、「えーそれ何でもアリ過ぎやろ」という白けもおきないくらいの突き抜けで「何でもアリって凄い」と思わせてくれます…

十三人の刺客

(ネタバレ注意) 三池崇史の「ワイルド・バンチ」と言われては、三池ファンでもあり、ペキンパファンでもある私が見に行かないはずはない。確かにこの写真からしてワイルド・バンチとかぶっとるわけで、血湧き肉躍って鼻血が出そうになりながら見に行ってき…

萌の朱雀

何か今更って感じで済みません。僕の実家の近所の映画ですのに、「絶対途中で寝るんじゃないか」とか、自分の文芸映画コンプレックスが復活するんではないかなどといぶかったりしながら、今まで観ずにおいてあったんです。最近、尾野真千子さんをメディアで…

借りぐらしのアリエッティ

筆不精きわまれりでもう二度と更新されないかと思っていた全国数名の読者様、どうもご無沙汰でした。部屋に新しい椅子を買ったおかげで、家でパソコンに向かう時間が増え、ようやく筆を執る気になりました。しかし、こうもものを書いていないとものの書き方…

コロンブス 永遠の海

世界最高齢映画監督マノエル・ド・オリヴェイラのCristovao Colombo o Enigmaを岩波ホールで観てきました。御年101歳、僕より4倍ほど長く生きている人の映画を語るのもおこがましく、大変畏れ多いわけですが、コロンブスは実はポルトガル人だったという世界…

恐怖のメロディ

ジョニー・トー、オリヴェイラ、そして三池の新作が東京では上映中。矢も楯もいられない末期です。我慢できない欲望を、たまった映画感想で消化するコーナー、今回はインビクタスを観た流れでEastwoodの処女作をやっと観てみたというお話。この映画、“PLAY M…

Alice in wonderland

(ネタバレにはご注意下さい。) この際カミングアウトしてしまいますが、、中学生の頃からティムバートンの映画が大好きでした。ゴダールを語ろうが、オリベイラに永遠を感じようが、アンゲロプロスに平服しようが、映画がどうのこうの言ったってしょうがな…

インビクタス

WikipediaがSourceですが、Clint Eastwoodって並び替えると Old West Action になるんだって 知ってた?私が敬愛して止まぬイーストウッド翁の最新作『インビクタス 負けざる者たち』を観てきた。その感想の前に、先日日経新聞に久石譲さんが書いていたんだ…

倫敦から来た男

長回しはまさに映画の魔。一つの事件を時間の切れ目なくつぶさに眺めるという、ある意味究極的な擬似傍観の悪夢的体験に魅了される監督は世界各国枚挙にいとまがないが、ハンガリーと言えばタルベーラである。『ヴェルクマイスター・ハーモニー』以来の新作…

これ清順だよね。/リミッツオブコントロール

The Limits of Control 監督:ジムジャームッシュ 撮影:クリストファー・ドイル 出演:イザック・ド・バンコレ、ティルダ・スウィントン、ジョン・ハート、ガエル・ガルシア・ベルナル、工藤夕貴そう言えばもう一ヶ月くらい前に見に行っていたジャームッシ…

黒い罠

Touch of Evil 1958アメリカ 監督・脚本 オーソン・ウェルズ チャールトン・ヘストン ジャネット・リー オーソン・ウェルズ マリーネ・ディートリッヒ 音楽 ヘンリー・マンシーニオーソン・ウェルズと言えば、市民ケーンではなくて実はこちらという方も多い…

第三の男

生来、「風とともに去りぬ」とか、「ティファニーで朝食を」とか、いわゆる「映画ファン」にとって有名な映画には、本当に面白いの?と食わず嫌いを発揮してしまう気質だから、当然のごとく、そこに部類されていた「第三の男」を、今回オーソンウェルズ特集…