Alice in wonderland

eupketcha2010-05-03


(ネタバレにはご注意下さい。)
この際カミングアウトしてしまいますが、、中学生の頃からティムバートンの映画が大好きでした。ゴダールを語ろうが、オリベイラに永遠を感じようが、アンゲロプロスに平服しようが、映画がどうのこうの言ったってしょうがないわけです。好きなものは好きなんだから。バートンの最新作がやってくれば、それはもうサーカスが町にやってきたっていう感じのちょっと独特の暗さをもった歓喜を覚えたものでした。
そんな世界妄想少年少女の一員だったあの頃から今にいたるまで、素晴らしい映画を数限りなく見てきましたが、傘をくるくる回して飛んでいくペンギンや、怒って暴走するはさみ男や、艶めかしい猫女や、ゆらめくような首なし騎士や、灰皿をひっくりかえしたような感じでふわふわと飛び行くUFOや、そんな異形のものたちを見てしまった、覗いてしまったときのゾクゾクするような暗い感動を心にひらめかせてくれるのはバートン映画だけでした。あるいは、見終わった後に本当に涙を流して泣きじゃくったのはビッグフィッシュだけだし、未だに人に馬鹿にされても好きなことをやらなければと思ったときに真っ先に思い出すのはエド・ウッドのにんまりとした、(それこそチェシャ猫のような)笑い顔なのです。
って、何か妙に前置きが長くなりましたが、昨日「アリス・イン・ワンダーランド」を見てきました。妄想作家ルイスキャロル+バートンですから面白くないはずがない!初3D映画体験で緊張しましたが、眼鏡を付けるタイミングは白ウサギさんが懐中時計で教えてくれたし、円偏光フィルターを利用した軽い眼鏡で肩も懲りません。Walt Disneyのロゴが立体的に展開され、「おおっ」と思わず口走るのもつかの間、聞こえてきたな、あのいつも同じながら心かきむしられる弦楽器の音と女声コーラスは、ダニーエルフマン!またか。
そしてどうでしょう、このうっとりするようなキッチュな美しさは。例えばチェシャ猫の動きはどうでしょうか、ゆらめくようなハートのジャックは、芋虫の煙は、トランプの兵士の動きは、あるいはマッドハッターの眼は。これがバートン映画以外でも見られるものでしょうか。脚本がいまいちだの、最後が何でアブリルラビーンなんだという突っ込みは置いといて、バートン感が120%堪能できて、しかも画面が飛び出るといういかにも見せ物小屋的おまけまでついてくる、こんなすてきな映画はないと思います。何てほめすぎか。映画というより万博のバートン館に行ってきたっていう感じかもしれない。眼鏡を外すと、まぶしくて焦点定まらずに、足下をふらつかせながら階段を下りると、まるでファッターワッケン踊りを踊っているかのようじゃありませんか。
あと蛇足ですが19歳の美しいアリスが、大きくなったり小さくなっりするのはちょっとやばいよね。え、僕だけ?