バーンアフターリーディング

昔はよかったっていう耳にタコな話、『ファーゴ』は素晴らしい映画だったと鮮烈に思い出したのは『バーンアフターリーディング』のラストのジョンマルコビッチのとった行動が、『ファーゴ』のラストのピーターストーメアのとった行動のほとんどデジャブである瞬間だ。全く同じシーンのように見えるのに、あの頃の暗さはどこへ行ってしまったのかと嘆きたくなる、このアホらしい明るさはどういうことか。近年のコーエン兄弟において『ノーカントリー』はやはり奇跡的に暗さを取り戻していたと思うが(あれすらも限界が見えたが)、『ディボースショー』なんてどうしてあのオタクっぽい見た目の双頭から産まれたのかさっぱりわからないくらい、底抜けに明るいスタームービーだった。古いハリウッドのコメディー映画を目指しているのかもしれない。が、果たしてこの兄弟の仕事であるのか、そこが疑問だ。