故郷愛/ディープジャパンなら

日本の仏像最高峰であるかのようにして、彼(あるいは彼女)はホールの真ん中に鎮座し、日本中から押し掛けてきた彼(あるいは彼女)の信者たちが三重の輪をその周囲に形成して、その美しさにうっとりとしながら、体を押し付け合って不格好な旋回運動を続けていた・・・
上野の阿修羅展で感慨深げにそんな光景を眺めた。彼(あるいは彼女)は幼い頃から奈良市に行く度にお目にかかっていたものである。宝物殿だったかな、校倉を模したようなところに入ったら、あれっていうくらい脇に他の仏像と並んでおいてあったと思う。そもそもは八部衆の一体であり、あくまで脇役、one of themだったのだ。そういえば中学生の頃、数学の先生に顔が似ているとかいってみんなで笑っていたことを思い出した。こんなにスターダムをのしあがったなんて。初めて背中も眺めた。
1300年に向けて奈良熱い。何かこう京都のときと違って、あんまり知られていないっていうディープな感じがあって、マニア心がくすぐられる。みうらじゅんとかいい例だし、もはやサブカルと言っていい「せんとくん」がそのコアっぷりに油を注いでいる。


先日奈良に行く機会があったけど、東大寺とか凄い迫力だし、その周囲に鹿が群がる姿は改めて「異様」である。ならまちには数々のマニア心をくすぐる店が集結してきている。街が小さくて、すぐ歩き回れてしまうのも素敵だし、原生林が溢れていて素晴らしい。夜があっさり暗くなってしまうのも神秘だ。ちょうどお水取りの時期だったけど、この儀式も知れば知る程かなり怪しく、数々の伝説に彩られて、ぐいぐいくすぐってくる。ちなみにこの「お水」はどこから来ているかというと、話題になった福井県オバマ市であり、いつのまにか奈良は(かなり怪しい形で)米大統領とも関係していたのだ!

ところで先日、野田英樹の第一子のニュースを見ていたら、そういえば妻は「犬猫」の藤田陽子であり、彼女は奈良県出身だ。今までさんまと楳図くらいしか有名でなかった奈良出身であるが、僕らの世代には女優(しかもややディープな)が妙に増えて来たっていうのも個人的に熱くなってしまうところだ。
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