パラノイドパーク

映画は相変わらず観ている。アルモドヴァルと同様に見逃していたのは、ガス・ヴァン・サントの『パラノイド・パーク』。『エレファント』以来確立された手法を踏襲しながら、その内容は「透徹した客観」ではなく、ひたすらに「感傷的」である。もう少し具体的に言うと、非常によく計算された構図と美しい撮影、カメラ移動といった「冷淡」な演出でありながら、写し取っているものは叙情的。そのギャップに、流れで観てきたファンとしてはやや驚き、何かしらこう、恥ずかしくなってしまうのである。そう、この映画は恥ずかしい映画なのだ!そもそも撮影クリストファードイルという時点で、路線変更あるいは回帰を感じるし、何よりも「恥ずかしい」と思う。しかし、これはきっと『ミルク』への準備であるに違いないと思う。相変わらず慎重な男だ。個人的には主人公が歩いていく叢を追っていくと海というシーンがさすがだと思った。