元禄忠臣蔵

あと、四時間かけて観たのは溝口健二『元禄忠臣蔵』。溝口が「本当に人は斬れないでしょう。」と言って、新藤らが準備した吉良邸討ち入りを撮らなかった、あるいは、原寸大の松の廊下を作った、など数々の伝説で有名。情報局の支援に基づいて、溝口が予算を湯水のように使うことが出来たため、この孤高の天才が作ってしまった、あまりにも壮大な映画である。おそらく僕が観たことのある日本映画の中でも、最もスケールが大きい。アメリカにはグリフィスの『イントレランス』があり、ドイツにはラングの『ニーベルンゲン』があり、日本には溝口の『元禄中心蔵』があるのだよと言い続けていきたいと心底思う。