ローズ・イン・タイドランド

タイドランドのローズと訳して、不思議の国のアリスとの相似をなすかに見せかけて宣伝されている、この映画の実際のタイトルは単に「タイドランド」=干潟で、実際のところいつ果てるかわからないような悪夢が輪廻する、途中で席をたちたくなってしまう、いかにもギリアムらしい絶望的な映画だ。テリー・ギリアム監督は壮絶な失敗(参考「ロスト・イン・ラ・マンチャ」)でへこたれて、遂に売れ線に路線変更したか(「ブラザーズ・グリム」のことですが、未見なので妄想の可能性あり)と思っていたが、全然そんなことはなかったようで、ちょっと安心(?)した。テリー・ギリアムの映画のもつ負のエネルギー(映画史的にはリュミエールではなくてメリエス、グリフィスじゃなくてトッド・ブラウニングという系列に属するもの、つまり変なものを見せてやろうという見せ物小屋的根性と言い換えてもいい)に高校のころは酔いしれたものだが、大学に入って良質な映画をたくさん観てしまっては最早ギリアムも卒業かなと、音楽でいうとクラシックにすっかり感化されてメタルはそろそろ卒業かなというのに似た感覚を持っていたが、案外まだこういうのが好きな自分がいたことを再確認した。ちなみにヘルツォークはこの系列だが、ティム・バートンは実は違うと思う。モンティ・パイソンを久々に観たくなった。