パルプ・フィクション

パルプ・フィクション [DVD]

もう四回目くらい。色々一緒に見た人に語ってしまったが、冷静に考えるとこの映画の最も注目すべき点は、古今東西B級映画を観まくった混沌としたタランティーノの頭の中が、奇跡的に整理されて全てが上手く機能しているように見える点なのだと思う。よく言われる「犯罪モノがうまい」とか、「映像が斬新」という評価は決して当たっていない。「犯罪モノ」にしては冗長と思えるし、「映像が斬新」というのは全くもって違う。むしろオタクだけあってかなり古典的な手法を使っているように思える。タクシーのシーンでは白黒映像まで使っている。キル・ビルのときにはオタク全開で、多少辟易するわけだが、ここでは上品にまとめている。それがこの映画を勝利に導いた。パルプ・フィクション以降、下らないプロットで、人が死にまくる犯罪モノ映画が幾百と続くことになるのだが、そういう映画といまだに一線を画しているのは、以上に述べたような分析の誤りがあったからではなかろうか。この説が正しいか正しくないかは別として、あまり映画好きじゃないけど、ちょっと映画を観てみようとする人たちを誘い込むのには絶好の映画だと、今日知り合いに見せた反応をみてつくづくと思った次第である。