ラスト・デイズ

たとえこの映画がいかに多くの人に不快感を与えているとしても、いかにニルヴァーナファンから批判を受けているとしても、「エレファント」からさして監督のやり方に進歩が見られないとしても、ラストああいう終わり方はどうなんだ的議論になっているとしても、僕はこの映画を理解できると言いたい。


それは理解しがたい不快感を与えるハネケの映画とは好対照をなす。理解できるが故に、粗も目についてしまうという、ガス・ヴァン・サントの愛嬌がその理解可能性を担保している。どんなに演出を切り詰めてもこの人は神にはなれない。そういう人間性を隠しきれないところが好きというか、この域なら達成できるかもという感じが見え隠れするので、ちょっと映画を撮りたいなぁという気にさせてくれるのがいいね。少なくともアメリカでそういう感覚でありながら、売れ線でやれる希有の監督として、これからも応援していきたい。(ちなみにエレファントの方がよかったとは思うが)