「アワーミュージック」

アワーミュージック [DVD]



昨年見逃していたゴダールの新作。シアターイメージフォーラムにて再演していたので行ってみた。
(いるはずのなかった東京の三日間のあいだに)
ゴダール映画の物語などははっきり言って頭の弱い私にはさっぱり解らない。もっと言うと政治色が強いようであまり解りたくもない。それでも絶えず観に行くのは1「カットのつなぎの斬新さ」と2「音楽の使い方の格好の良さ」と3「ときどきはずかしげも無く見せる映画オタクの本性」と4「美人の顔」の四点に毎回やられてしまうから。今回も。


やたらと神格化されていて、常に新しいことをやっているような印象があるが、もともと1の「ジャンプカット」、2の「ソニマージュ」で有名になった人だった。馬鹿にされそうだが敢えて極論すれば「勝手にしやがれ」から今までずっと同じ事をやっているという気がする。なぜか誰もまねできないというより、まねをしない。それで「ゴダールだけが」ということになり、凄い凄いとみんな言う。つまりゴダールの何が凄いかって「誰もまねをしたがらない」のが凄いんだと思う。


今回のゴダールはでも比較的わかりやすかった。「地獄編」は3の真骨頂、「煉獄編」は最近のゴダールに著しい傲慢さが、もはやネタになっていて楽しめるのでまあよい。自分の講義がテロリズムにつながるんだもんなー、よくやるよ。「天国編」はちょっと「ウィークエンド」とか「ワンプラスワン」あたりのはっちゃけてる感じに戻っていて楽しかった。


1と2と4のおかげで、いつも難解ながらすがすがしいのがゴダール映画の一番いいところかもしれない。まだまだ元気でよかったよかった。