インビクタス

eupketcha2010-04-17


WikipediaがSourceですが、Clint Eastwoodって並び替えると Old West Action になるんだって 知ってた?

私が敬愛して止まぬイーストウッド翁の最新作『インビクタス 負けざる者たち』を観てきた。その感想の前に、先日日経新聞久石譲さんが書いていたんだけども、『グラン・トリノ』をはじめとしたイーストウッドの音楽っていうのは、まあ自分で作曲しているんだけども、映画音楽をやっている人間から言わせるとはっきり言ってすごいメロメロでベタベタな音楽で、まあある意味王道なんだけども僕は絶対(つまらなすぎて)真似できないと。ところが、ひどいけれどもそれが何度も流れるうちにだんだん慣れてくると、この音楽が流れるだけで感動してしまい、最後にしわがれた声で自分で歌ってしまったりして涙腺もゆるんでしまうと。まあ若干ニュアンス違うかもしれないけれども、そういった内容で、妙に納得した覚えがあります。
翻ってみると、イーストウッドの演出そのものにもそういうところがあると思う。突出して変な出来事や、突出して変なキャラクターの人物が突如として登場するとか、何と言うこともない家族の会話を登場させるとか、そういった間を持たせるというか、映画の別側面をみせるというような演出はほとんどない。すべてが結論に向かう伏線となっており、必要最低限で突き進む。そんなある意味ベタというか、王道というか、よっぽど自信がないとできないような、まあある意味ナルシスティックな演出をする。で、ときにうわーベターっとか観ていると思ってしまうんだけども、何か泣いている自分がいるわけです。そして久石さんの言うようにあの輪廻のように繰り返されるメロディアスな音楽にもやられれてしまうわけです。
それで『インビクタス 負けざる者たち』はまさに王道を行くイーストウッド映画の最典型という感じ、正直もう少し起伏がある展開があってもいいのではないかと思うくらい結末に向かって一直線、主役のマンデラも、ピナールも迷ったり、本当にこれでいいのかとか思ったり、自堕落になったり、そんなアムロレイ的な展開は全くなく、まっすぐに向かうと。しかしそれでもラストは感動してしまうわけです。まあそれくらいこの歴史的事実が素晴らしいということなのかもしれませんが、それが理解されうるのもこういった演出があるからとも思います。
どうでもいい、個人的な話に最後はなりますけど、最近ラガーマンの知り合いがなぜか周りに増えてきているんですが、彼らのラグビーの語りっぷりていったら、まるで戦場から帰ってきた兵士が、戦線での思い出話をかたるような雰囲気で、何かこうインドア・スポーツ嫌いな私としては理解しがたいものを感じてましたが、ああなるほどあれは戦いだなと、映画を観ててちょっと理解しました。映画の演出かもしれませんが、体と体がぶつかりあうときに発せられるパチッという音が妙にリアルでした。