ピナバウシュが死んだ

忌野、マイケルの死を悼みきれないという日記を書いてつかの間に、なんと今度はピナバウシュが死んでしまった。しかもあろうことか、がんの告知を受けて5日後に死んでしまった。確かに僕は、四年程前の来日公演『カフェミュラー』にて、その痩せっぽちの体から発せられるあまりにも強大なエネルギーを眼前に感じ取り、思わず涙腺がうるんだこと、これははっきりと思い出せる。しかし、その強い記憶を持ってしても前回の来日には浅はかにも足を向かせるることができなかったのである。思い返せば駒場にやってきたときもリアルタイムでその横に立てたはずであったがしなかった。ケルンからベルリンへ旅したとき、ヴッパタールの街はひっそりと静まり返っていたが、そこにピナはいたはずだった。ああ、またしても、またしてもなのか。つらいことばかりだ。