ミルク/ガス・ヴァン・サント

というわけで、「パラノイドパーク」も予習しておいたことだしっていうノリで、観てきました「MILK」!初日です。繰り返しますが、僕はゲイではありません。そして、ガス監督はゲイだったのですね、全然知らなかった。ゲイを公表した人間として初めて公職についたハーヴェイ・ミルクの8年間を描き切るだけでなく、その「彼氏」たちと「暗殺者」の物語を織り込むという、複雑な構成を、軽やかにまとめあげる天才的演出力は脱帽ものでした。ダニーエルフマンの音楽だし、途中で画面が格子模様になったりというお遊びは「誘う女」のテイストで、しかしそこにしのびよる暗殺へ流れていく低調なリズムは「エレファント」の緊張感がよみがえります。特に怖いのが突如として子供の背中をカメラがスローで追って、ミルクに近づいてくるというシーン。この後ろ寒さはガス監督にしかできないかもしれない。
どうでもいいですが、「ミルク」ってどういうつもりでつけた名前だろうか。ありふれた名前なの?「女の子みたいな名前ね」と言われて育った友人がゲイになってしまったという実例を知っているだけに、ここにも何かあるに違いないと妄想が広がっていくわけですが