崖の上のポニョ

2年前にTVで製作開始ドキュメンタリーやってましたよね。宮崎さん格好いいなぁと思いながら個人的には2年待望していた作品。「スタジオジブリ」の名前が映るだけで拍手したくなった。これもまた祭りに近い。
宮崎演出は冴え渡っていて、そこらのアクション映画なんかよりよっぽどアクティブである。ポニョは触れ込み通り、キモカワいさ100%で、キッチュな魅力を振りまいていた。
何が起こっても一ミリも動じないあのお母さんのキャラクターもいかにもって感じでよかった。そして何よりもあの走るポニョのシーンは、これから生涯を通じて何回も見たいと思うシーンであることは間違いないだろう。
こういったパーツパーツは珠玉の宮崎ワールドなんだけどなぁ、でもなー、全体を観ると、正直ものすごく変わった映画であると思う。いまだに何と表現したらいいかよくわからない。具体的に言うと、世界観がいまひとつ掴めないというかなんというか。西洋的な「魔法」が日本の港町にあらわれるところの違和感とか、ポニョが異様に親を嫌っているがその理由がいまいち見えてかない所とか、ラストへのややあっけない流れとかの事である。
まあでもよく考えると「絵本」は大体こういうものか。子供のための絵本を大人の目線で楽しむという、この落ち着きがこの映画の見方として正しいのだと思う。もう少し続いてほしいと思うところでのややあっさりな幕切れに続いて、あの脱力な歌声が始まるところあたり、最後までキッチュな映画であった。