[映画]There Will Be Blood

久々に初日に映画を観るなんてことをやってみた。観てしまった。混雑している上に、観客も様々で、上映中にもぞもぞ喋るし、鼻は景気よくすするし、緊張感あるシーンでげらげら一人で笑っている人もいたりして、萎えた。Shame On You ! やはり映画は終わるか終わらないかくらいの空いている頃を狙って観に行くものだ。

ロバート・アルトマンに捧げられたPTAの新作だが、今回は群像劇ではない。役者馬鹿ダニエルが炸裂し、壮大なセット、大河なストーリーと、触れ込み通りの大作であった。それでは「ギャング・オブ・ニューヨーク」と何か違うのかと言われると、(まあ全然レベルが違うのですが)、僕はそれは音楽だと言いたい。そもそも映画のオープニングからして音楽が怖すぎる。映されている内容に比して音楽が過剰に怖い。この映画の主人公は恐るべき人間であるということを音楽によって強制的に観客はねじこまれる。それはまるでキューブリック映画のような狂気。以降も、かなり戦略的な音楽の使い方をしていると思われる場面が随所にある。(逆に言えば、音楽に演出を頼っている面があるということでもある。)その音楽の戦略性が如何なる意図かについては意見の分かれるところであるだろうが、少なくとも2時間半緊張感を保たせることにかけては十分に効果があった。