自分のレントゲン写真を見る。

就職時の健康診断を無料で施してくれた温情深い現在の病院に対して、来年度から私が働こうとしている病院は、「自費で健康診断受けといてくださいね、しかも今月中ね。」といった内容の、実に味気ない連絡をくれた。流石、わが母校よ!しょうがないので、当直明けを利用して、健康診断を受けて来た。普段喧嘩している心機能室のおばちゃんの心電図をとる素早さに脱帽するなどして楽しんだ。

それで自分で自分のレントゲンを見た。前から指摘されていたが私の胸部レントゲンは異常で、側弯症といって、背骨が波打っている。幸いな事に私は無症状で経過しているが、人によっては息が苦しくなる人もいて、手術の必要が出てくることもある。昔、自分の写真を見たときはさしてピンと来なかったが、既に何百枚もレントゲンを見たあとで改めて対面すると、これは異常だと自分でも痛切にわかってしまい、何だがゾクゾクとしてきた。「どうだ見てくれ俺の胸は異常だぞ、ほーら肋骨だってこんな左右で違うし、椎間板もひしゃげてるんだぞ。危うく気管も潰されそうになっているぞ」救急部の仲間に供覧しようと思って訪れると、皆仕事に追われ忙しそうにしている。しょうがないので、一人でまたしげしげとレントゲンを見直したが、自分の思い描いたことの悪質な露出感にうすら寒くなって帰ってしまったのだった。