木枯らしとともにやってくる、それは食欲

 今日は試験会場にやって来ると「げっそりしたな」と言われてほくそ笑む。この一週間くらい、例の胃腸炎のせいで食欲が湧かず一日一食以下の生活を送ったためである。OMRONのせいでもある。まあでもほくそ笑んでいるとさすがに気持ち悪かろうて、とりあえず返す言葉に「最近体調悪くてさ。」ところが、この友人の一言がつっかえを外した。試験が終わり建物の外へ出ると吹き荒む冷たい風の中で猛烈なる食欲の電流が頭のてっぺんから足の爪先まで迸った。私は食べ物をもとめて本郷の街を彷徨った。本郷の街には大戸屋がなくて憂いていたが、最近その大戸屋にそっくりな○○○屋というのができて、チェックしていた。自然にそこに自転車が向かった。大戸屋ランチにそっくりな○○○屋ランチを注文する。見た目も大戸屋ランチにそっくりだし、具材的にも遜色ない。ところが値段は大戸屋ランチより高いくせに、大戸屋ランチより明らかに不味い。ふと気になって周りをみた。まさかそんなことと言われるかもしれないが、こう飯が不味いと、来ている客層もどうも大戸屋で見かける人たちとは違う人種のような気がして来た。まず女の人が圧倒的に少ない。カップルはいない。学生もいない。いるのはサラリーマンと、太った男の人と、ユニクロの一世代前のフリースを着ているおじさんばかりである。目の前の席の男は、独り言を口走っている。隣の男は、やたらとイライラしていて貧乏揺すりが激しい。反対側の隣の男は鼻息が荒い。完全に失敗したと悟った。もう来ないよ○○○屋。支払いを済ませ外に出て、冷たい風に吹かれると、あれだけ食べたのにまた食欲が吹き荒れるのである。メンズポッキーを買ってむさぼり食って寝た。


 冬に過眠・過食傾向の出る季節性うつ病とかいうのがあるが、あれに違いないと思う。風が吹くとお腹が減るのである。リスか何かの体内で「冬眠ホルモン」なるものが証明されているらしいが、あれきっと持ってる。僕の祖先は寒い環境で生きて来たんじゃなかろうか。軽い冬眠をしながら、また変な夢をみた。僕の後輩から、『うちの中学校でTHE BOOMのミヤさんがかなぜか教師を内職でやっていて、「本当はもう歌手やめたいんだよね。」って授業中言ってましたよ』って、自慢される夢だ。中学校の頃からBOOMが好きだったので、なんか異様なくやしさを感じた。あまりのくやしさに目が覚めて、こんな時間にこんな駄文を書いて、世間一般に衆知させているのである。いっそのこと本当に冬眠してしまいたいわ。

追伸

 冬眠と関係してしいるようでしていない話だが、昔僕がいた寮でずっとパジャマみたいな服を来ていた顔の大きくて強烈な先輩がいて、集会とかにも顔を出さないし、一体この人は何をやっているんだろうかと気になっていたら、結構有名な企業にいって、へぇああ見えてちゃんと就職活動していたんだと感心していたまま記憶の彼方になって居たが、数日前(本人は意識が朦朧としていたと言っているらしい)電車で男の子のお尻を触って逮捕されていた。(同姓同名の同じ会社の人かもしれないが。)僕の知り合いで逮捕者が出るのは今年二人目で、もう一人はやはり顔が強烈で、ずっと皮ジャンを着ていて、この人本当に医学生なんだろうかと思っていたら、「僕、医学向いてないと思うんです。」とか言っていたのを「まだまだ選択肢はあるよ。別に医者にならなくてもいいではないか。」みたいに皆で励ましたことがある人で、医学部ではないところに進学し、彼もいい選択したなぁと快く思って記憶の彼方になって居たが、強引に結婚してDV、逃げた妻を追って実家を襲撃、婦女暴行で逮捕されたらしい。「あーあ。」遂に逮捕者の出る世代となってしまった。彼らにもひょっとしたら冬眠が必要だったのかもしれない。冬眠を奪ったのは誰だ!