月が綺麗なので、たまには恋の話でも

一昨日会った人に心理テストしてもらった。心理テストにも著作権があるのなら、訴えられるかもしれないが、駄ブログなので許してください。


Q あなたは旅のお供に五匹の動物を連れています。しかし、食糧が尽きてしまってあなたは一匹ずつお別れして行かなければなりません。五匹の動物は、うし、うま、らいおん、とら、さる です。さてあなたならどういう順番でお別れしますか?


僕の答え
さる→うし→とら→らいおん→うま

理由
さる ぎゃーぎゃーうるさいので
うし 遅くてむかつく
とら 怖い
らいおん 格好いい
うま 速い、美しい


みなさんもちょっと考えてみてください。次の行から種を明かすので。




「この心理テストが何を反映しているかと言うとね」、その人は愉快に種明かしをしてくれるわけ


「これは、あなたの人生における優先順位を反映するんです。捨てるのが遅いほど大事なもの。さるは、パートナー。うしは、子供。とらが権力で、らいおんが名誉。そしてうまは金です。君、最悪ね。」


つまり僕は パートナーはぎゃーぎゃーうるさいから最も優先順位が低い、子供は遅くてむかつく、権力は怖いけどまあそんなに嫌いでもなくて、名誉は格好いいと思ってて、お金が「速くて美しい」最も大事なものだったのである。かなり嫌な奴だ。


いや待てよ、これは何かの間違いじゃないなのか。僕はまだパートナーも子供もいないが、いたらそんなに疎んじるつもりはない。大体僕は馬こそがパートナーのメタファーだと信じてこれを解答したんだと反論する。


「つまりあなたにとってパートナーってお金のことだったのですよ。」


そうか。そうだったのか。それで今までろくな恋をしてこなかったのか。なるほど、合点がいったよ。めまいがしてきた。私はとぼとぼと夜道を帰宅した。綺麗な満月だった。


しかし家に帰ってよくよく考えるとやはり納得できない。パートナーを馬と思って優先順位をあげたことには偽りはないからだ。ましてやなんで猿なんぞに愛情を覚えねばならんのだ。
「馬をパートナーと考えたこと」が「馬=お金」だから「お金=パートナー」という図式は心理テストが絶対的に正しいという前提で初めて成り立つものである。一見筋が通っているように見えて、ここで納得してしまっては心理テストの独壇場である。何を考えて、何を答えても心理テストが勝つのである。


心理テストが先か、心理が先か。


さてその翌日に私はまた別の人からこんな話を聞いた。


「仮にある某商社で働いたAという人がいるとする。あくまで仮にだ。Aの職場に派遣でやってきた女性Bがいて、そのBとAは普通に仲が良くなった。ある日そのBが、妹Cを紹介したいという。会ってみると、そのCは彼の好みにぴったしかんかんだったわけだ。たちまちAは恋に落ち、携帯番号も見事ゲット、それからしばらく会うようになった。そんなある日、Cが、Aに『夢をもっていますか?』と聞いたそうだ。多少訝りながらもAは自分の夢を正直に答えた。するとCはその夢に賛辞を送ったあと、こんなことを言った。『あなたに会ってほしい人がいるんです。その人も夢をもっているんです。』誰だったか分かる?」


「実は恋人がいたとか?」


「甘いな。甘すぎる。要はそれネズミだったんだよ。いきなり厚く握手を交わされてね、『実はよく効く薬があるんだ』だってさ。Aはすぐに気付いたものの、好みにぴったしかんかんのCを救いたい一心で集会などにも参加したが、結局Cに『薬を買ってほしいから会ってただけ』と言われてしまい、ついにそれきりになったって。」


この話の教訓は、ネズミは近づく前に退治しろということではないと思う。世の中に数万人に一人のぴったしかんかんの女性などいないということの方がきっと重要だ。脳はきっと、異性とある特別な環境で会ったり、少し見た目がいいと思ったりすることにより、勝手に自分の今までの好みの歴史を再構成してしまうに違いない。ひょっとすると、その記憶に整合性を見つける作業こそ恋の本質かもしれない。いずれにせよ、恋に落ちても、その人しかいない思うのは愚かしいということだ。


恋が先か、好みが先か。


最後にもう1つ有名な心理テスト
「おばさんの葬式に行った、二人姉妹の妹がその葬儀に来ていたある男に一目惚れしました。家に帰った妹は、姉を殺してしまいました。さて、その理由は何だったでしょうか?」


ちなみに僕の答え「その男とは姉の夫だった」


貴方は凡人ですと言われました。今日も月が綺麗ですよ、皆さん。