パビリオン山椒魚を見てきました。

eupketcha2006-10-17


 「シネフィル」方面から微かに絶賛の声が流れてくる冨永監督の長編デビュー、「パビリオン山椒魚」見てきた。
センスがあるという大方の意見には同意するものの、それ以上の情報は得られなかった。
それでもこの人の今後に期待を寄せざるを得ない所に日本映画界の未曾有の貧困さが如実に現れている。


 先日もう人生最後かもしれないバスガイドさん付きのバス旅行に行って来た帰りに、「海猿」とかいう映画が車内に流れた。
そのバスガイドさんが自分より年下だったのも少しショックだったが、この「海猿」のお金のかかったつまらなさもなかなかに衝撃的だ。
これで「海猿2」が製作され、しかも大ヒットしたわけだから、僕の感覚はよっぽど世間からかけ離れてしまったらしい。
パビリオン山椒魚」はまだよしとして「LOFT」を応援するなんてもってのほかなのかもしれない。


 「ブレードランナー」にしろ「時計じかけのオレンジ」にしろかつて未来と言えば、暗く、暴力的だった。
僕はぎりぎりこの廃墟の未来イメージが刷り込まれた人間だと思っている。
ところがそれは実に時代遅れであって、現代人の未来イメージは明るいCGファンタジーのような世界であるように感じる。
おそらく、その背景には焦点深度の浅いぼやけたフィルムの消失、デジタルカメラの普及、CG技術の進歩、萌え文化の成熟、そしてソ連の崩壊が関係していると思う。
今強いて恐ろしい未来イメージを抱くとすれば、世界がイスラムに駆逐されるということくらいだろうが、そのイメージですらかなりコミカルで凄みにかける。


 もはやあの国の核実験に最後の望みを託すしかないのだろうか。
見えないものが見たい、見えるものは見たくない。