沖縄礼賛4

eupketcha2006-09-12


今日は 少し 余裕があるんで沖縄のつづきでも


そう私は沖縄のひめゆりの塔から行って間もない海岸で、やめとけばいいのにどんどん波打ち際に近づいた。夏の暑い日差しと、睡眠不足にすっかり体力を消耗していた。いい加減帰ろうとしたとき、足元に奇麗な魚が。思わずカメラを構えて魚に近づこうとすると運動神経の足りなさが露呈してこける。画面には沖縄の青い空。ごつごつとした岩肌にしりもち。


被害状況確認。意外に尻は大丈夫だ。背後に水たまりがなくてよかった。
ん、右手が生温いぞ。あ、右手が海水につかっています!そしてその手にはカメラが!


ここで私の記憶はこのカメラを購入した今年の四月にフラッシュバック。新宿のビックカメラ。一時間カメラを選びに選んだ最終局面。候補が二つに絞られていた。一方はデザインがよくて、安い。一方はデザインいまいちだが、すごく小さくて持ち運びやすい。何度も売り場をいったりきたりしてはたと気づいたのが後者の機能欄にウォータープルーフの文字。そういえば僕は雨の日でも写真とりたくなったら無理矢理撮ったりするし、水泳をやっている関係で水際の撮影が多い。何かとどんくさいので、強いカメラにこしたことはない。
「これウォータープルーフって書いてありますけど。」
店員「雨くらいなら平気です。でもプールの中では使わないでください。」
「じゃ、これください」


時間は戻って今。そうか、俺は無意識にこれを予想していたか。凄いぞ俺。自己分析完璧俺。海、沖縄、最高。
(馬鹿丸出し、それが沖縄である。)
周囲500m誰もいない。


カメラはレンズ部分が閉まらなくなったが、ちゃんと撮影機能は生きていた。さすが。少しすりむいて痛む右手をかばいつつ車に乗り込む。

ひこうき雲


BGMユーミン。旅と言えばユーミン。今回の旅の目的は先輩とその奥様に会うこと。二人の新居はうるまにある。カーナビに徹底的にダメだしされながら、知念半島をぐるりと回るルートを選択。東海岸沿いをいく。
カーナビ「300m先左に曲がってください」
「やだ。」
カーナビ「左です。」


午後三時頃ようやく「目的地周辺です。」ゴルフの打ちっぱなしを目印に、丘の上を車が登る。新興の土地のようで、カーナビには出てこない。行き止まりの高台にオレンジ色のマンション群が現れた。いかにも若者向けな雰囲気がある。車から降りると打ちっぱなしの音がする。
(笑ってやってほしいが、少しフィリップ・マーロウのような気分にひたる。沖縄はどこか西海岸の街を思い出させる雰囲気があり、そこで一人車を運転することに今まで憬れていたのは、きっとフィリップ・マーロウへの憬れに近いのである(馬鹿丸出し、それが沖縄))



一階の部屋に住む奥様は、ベランダから「こっちの方が近いのよー」と言って出て来た。僕と同い年なのだが、早くも奥様になっている。(先輩が結婚する頃に結婚紙芝居を作った関係で初対面ではない。)体もいつの間にか「二人分」である。
「すんません、何か押し掛けて」
「ぜーんぜん、ぜーんぜん。」


奥様はこの「ぜーんぜん」に象徴される人だ。結婚したらすっかりキャリアを捨てて、主婦の道。三食作る。弁当もちろん。ハウスキーピングは徹底。かと言って決して無口で過剰なおしとやかさ(=つまらなさ)を持っているわけでもなく、逆に下品なおしゃべりでもない。夫に小言は言えど、それは「教育」と、一つ上の目線で見る。そしてお客さんがいつ来ようが「ぜーんぜん」。こんな甲斐甲斐しい24歳がいていいものかね。誤解を招くことを承知で書けば「羨ましい」。あと一つ覚えておきたいポイントは、先輩と奥様は顔がどことなく似ているということである。


さて、先輩の帰りが遅いがゆえに僕は奥様の暇つぶしという「パルプ・フィクション」のような状況に。仕方がないので遅めのランチを食べてから(沖縄そば)ドライブに行くことにした。
「どちらに行きますか?」
「海の方へ」


変な気を起こすなよ、ヴィンセント。車は黄昏の海中道路を行く。
つづく