この偉大なる緩い世界

eupketcha2006-08-21


今日はこれといって何事もなく、たまったメールの返信などして過ごしたためあまりネタがないので、また昨日の話。昨日受けた数多くの面接官の中で一人だけ僕に怒号を発した人がいる。履歴書に「免許取得」と書くべきところ、「免挙所得」と書いていたからだ。すっかりゲシュタルト崩壊していた私は結構見直したにも関わらず、まったく気づかず提出していた。世間のリクルーターから笑われそうだ。同じ部屋で多数面接している形式なので、その怒号が他の受験生にも聞こえたわけで、こちらに視線が集まっている様子が背中に伝わって来て、何とも嫌な瞬間だった。


しかしこんなミスは普通の企業ならすぐに見つけられて、何度もねちねちとつっこまれてもおかしくなかったところであるが、結局十数名の面接官の中で指摘した人はその人だけだった。しかもその面接官もそのあとは何事もなかったかのように優しく接してくれた。映画が好きなんだねという話から、「ミュンヘン」凄かったですねって話で盛り上がった。


こういう文章の見方ひとつとっても、医師の世界には不思議な緩さがあるように思う。どんなに長大なカルテでも、どんなにたくさんの論文でも、大事なところが何かさえわかればあとはどんな表現でも結構。文章表現なんかよりも字がきれいなことがいいことで、それも最低限読めればいい。いやむしろ読めない人もいっぱいいるけどそれでも全然かまわない。なんというか、わかればいい。


白い巨塔は、ある視点から見るとかなりの切れ者集団に映るかもしれないが、全体的に見ればもうそれはそれは緩い人間たちの集まりのような気がする。
「わー先生、僕医師免許とりましたー」
「わー頑張ったねー今日から君も僕たちの仲間入りだー」
「わー何してもいいんですかー」
「わー何してもいいんだよーだって君は医師免許をとるくらいガンバってきたんだからねー」
「わーわー」
極端な話だが、こういうところが結構ある。そしてこういった世界に飛び出す医学生は大体二つにわかれるようだ。この緩さにどっぷりとつかって二度と出られなくなるか、拒否反応を起こしてあらゆる方法で脱出をこころみるか。(最近は市中病院に出やすくなり、後者に憬れる人が増えた)まあいずれにせよ、一時的にも「普通の社会」というようなもの(そんなもの実在するのかという議論はおいておいて)と交流を断つことは間違いないようであるし、今回はその緩さに助けられた。(と、信じたい)