サイン

サイン [DVD]

M・ナイト・シャマラン監督の映画は、監督の腕の良さを感じさせる演出と、陳腐な脚本のアンマッチという点で、実にブライアン・デ・パルマと同じ道を行っているように感じます。一見「サイン」は驚くほどに、カール・ドライヤーの「奇跡」を想起させる映画でしたが、(周囲から隔絶された一つの家に暮らす静かな家族が舞台、奇跡を信じる弟と奇跡を信じない兄がいて、奇跡が妻にもたらされるという・・)そういう崇高な雰囲気をいつも求めながら、やりたいことがデ・パルマ的どんでん返しというところに面白みというか、問題があるようです。最初の数シーンで、これは上手いと思って、のめり込みましたが、途中で息が切れてしまいました。画面に現れる全てのものが、ある一つのことに集結するという三谷幸喜的脚本形態は、必ず途中で論理が破綻したり、無理が出てくるので、もう卒業してほしい。この次に撮った「ヴィレッジ」はよくできていて最後まで観ていられました。次は秋くらいに新作が来るようですね。デ・パルマ的な芸で生きるか、ドライヤーに化けるか、今後が楽しみです。