稲毛にて

今日、午前中の実習がぽっかりあいたので、免許の更新に行ったらNeoona君がいた。一緒に講習受けて、一緒に寝てた。ビデオでたくさん交通事故が起きていた。最後にはついに死んだ人の生々しい映像まで出てきて、やっと目が醒める。そこから延々とつまらない話が続いた。僕は隣の女の人の足ばっかしげしげと眺めていた。


実習で稲毛というところに行った。駅についてあまりに市川駅とよく似ていたので、間違えたかと錯覚すら覚えた。総武線の駅ってみんな同じなんだろうか。醜悪なロータリーとか本当にそっくりだ。そのロータリーの真ん中にタクシーに取り囲まれて怪しげな像がたっていた。結構裸に近い、おさむらいさん風の男が手を振っているのか踊っているのか、なんとも不格好に手をあげている。足に一言、「郷愁」と書かれていた。


稲毛には放射線医学研究所、略して放医研がある。世界で三カ所しかやっていない重粒子線治療を見学した。ここでは炭素を腫瘍に打ち込んでいるが、配られた資料によると成績がすこぶるいい。ちなみにあとの二カ所は、兵庫とドイツ。四カ所目は群馬にできるらしい。どうなってるんだ日本。ちなみに一発打ち込むのに三百万かかる。


帰り道に、岡田真澄さんが亡くなったと知る。重粒子線は食道癌にも効くらしい。いくら三百万でも食道癌なら流石に払うかもしれない。でもとにかく早期発見だよねという話になって、どうすると大体どの癌も見つけられる検査できるかという、ありがちな医学生トークになり、結局いつもの結論=「死なせないという話になると、つねに医者は負けなのよ」にたどり着く。日はどっぷり傾いた。下校途中の中学生が目の前の塀を勢いよくのぼった。そういえば昔こんなことしてた。


家に帰ると、もう七時半だった。どっと疲れた割に、そのあと私は急に思いついて、池袋に映画を見に行ってしまうのだが、それはまた別の話。