ゼロ・グラビティ

(ネタバレ注意)
アルフォンソ・キュアロン監督の映画 2013年12月31日 銀座で。原題はgravityなので、zeroはつかない なぜzeroをつけたのか ということはどうでもいいが どうしてgravityという無機質なタイトルでよかったのか、もう少し誰か英語の詳しい向きに掘り下げてもらいたいところではあるが、何と言うか、このタイトルは映画の内容に比してクール過ぎないかと思う。君はもう少し熱い思いでこの映画を撮ったのではないかと監督に聞いて見たい。アルフォンソ・キュアロンがどのような人物か私は知る由もないが、こんな映画を撮るんだから余程熱く、映画のメソドロジーを毎日毎日考えているに違いないと予想する。冒頭13分の長回し、画面の動きに併せた呼吸があまりに計算され尽くして、ちょっと笑えてしまうくらいだ。余談だが、この冒頭で地球にカメラが向くことでショット展開させるのはヒッチコックのロープで背中が出てくるのと一緒と思うと、背中から地球になったかと、時代の変遷に感慨深いものを感じてしまう。その長閑な冒頭長回しが終わると、もう最後まで息をつかせないのであるが、そのシークエンスは総て長回しあるいは類長回しでつなげていく。その冒険に、熱い思いを感じずにはいられない。最後のシーンでこれを撮りたかったからかという感じのシーンを出してまたタイトルが出てくるが、とてもこれだけの映画とは思えなかった。技術は素晴らしいし、才能が有り余っているが、強いていえばそういうクールぶってしまうところが弱点なのではないかとも思われる。思想的な弱さと言うか。ただ、もう観る価値は高く、非常に面白く、もう一度(3Dでなくても)よく見直してみたいと思った。次回以降どのような作品を作って行くのか、往年のヒッチコックの様に、サイコの様な映画を作って行くのかどうか、今後が気になる映画監督であることも間違いはない。