クリスマス・ストーリー

eupketcha2010-12-12


アルノー・デプレシャン新作、恵比寿ガーデンシネマで観てきました。期待以上に素晴らしかった。ざくざくとしたカット割り、縦横無尽なカメラの動き、独白・回想などあらゆる文法を、映画的手法を、脈絡なく(実はあるのだけれども一瞬脈絡を感じない)投げかけられ、台詞の応酬の聞き分けを強いられ、何か大変なことが起こりそうな緊張感が持続させられ続ける2時間半を手に汗握りながら観戦するという、カサヴェテスの映画を観たときと似たような熱狂をもって、映画を観ることが出来ました。爽快な疲労感をもって映画館をあとにしました。
「家族」を撮るって何だろうか。プログラムに日仏学院における、黒沢清・アルノーデプレシャン・マチューアマルリックの対談が掲載されているんですが、このプログラムにおける黒沢清のコメントがまた面白くて、家族って言うのは男も女も子供も老人もいるヴァラエティに富んだ最小単位でありながら、みんな自分の演じている役回りがイヤ、一緒にいるけど、イヤっていう集団、だから撮りたくなるっていう、なるほど溜飲が下がる思いがしました。
家族って集まりたいという意志だけで集まっているわけでは必ずしもない、そこに義理や慣習がこびりついていて、切り離せなくて、集まると演技的になってしまうわけですが、演技しているということにはある意味プレッシャーがかかるものなので、このプレッシャーがいつ爆発するかわからない、ある意味、ものすごい緊張感を持った集団なんですよね。その緊張感がよく描写されていたと思う。そのメタファーとして「真夏の夜の夢」があるというのも示唆的でした。
それと音楽、すごく良かったので、早速色々検索してます。とりあえずセシル・テイラーの「AiriTunesで購入してしまった。かっこうよすぎる、やばい。