副腎漬け

 皆さん生半可な気持ちで腹部CTを撮らないで頂きたいものである。うっかり腎臓の上にある副腎という部分に腫瘍が見つかったりすると大事だからだ。精査のために1週間ほど入院して、とにかく血をとられまくるであろう。今日はホルモンを注射してから5回血を採り、明日は降圧薬を飲まされてから2回血を採り、明後日は2時間立ちっぱなしにされながら3回血を採るという調子で。おまけに朝食前に行うのが原則で、朝は早いし、腹は減る。しかもお世辞にも採血が上手いとは言えない研修医が、寝不足の中で採血を行うのである。そして、40%くらいはこれだけ頑張って、「この副腎腫瘍は何でも無いです。」と結論つけられてしまう。

 なぜか当方の病院では副腎は腎臓内科のテリトリーであって、腎臓内科の研修医の朝は時間との闘いである。副腎データシートを埋め、検査結果を総合的に解釈し、副腎回診に備えるのである。まあこういうのこそ大学病院の醍醐味なのであろう。楽しいと自分を言いきかせる日々である。