オリヴェイラを訪ねて

eupketcha2007-03-26


ポルトガルと言えば、オ・リ・ヴェ・イ・ラ!リスボン名画座シネマテーカ・ポルトゲーザに今リスボンにいる映研の友人(今回の旅行は彼に誘われたのがきっかけでした。)とともに訪ねると、いきなりオリヴェイラ写真があってテンションもあがるわけです。新作が「家路」同様ミシェル・ピコリが主演らしく、ピコリ特集をしていました。中には「アブラハム渓谷」のポスターが掛けられていて、さすがーと感動しましたが、併設された本屋さんにはオリヴェイラに関する書籍がカイエ・デュ・シネマのインタビュー集しかなくて意外な感じ。まあ国際的な監督が本国であまり有名でないというのはどの国にもある話なんだろう。デ・パルマやクロネンバーグの映画が、ゴダールやリヴェットの映画と並べて上映されているのも印象的だった。

オリヴェイラリスボンを舞台にすることは少ないらしく、そう言えばメインになるのは「階段通りの人々」くらいしか思い出せません。「永遠の語らい」の出発地点はリスボンの発見のモニュメントでした。リスボンのアルファマ地区は、おそらく階段通りのモデル?古くイスラムが作った入り組んだ階段通りが数々残っており、洗濯物がひらめいていました。一瞬映画に登場した教会が見えた気がして小一時間ほど彷徨いましたが、全くそのもののところは見つかりませんでした。

オリヴェイラの本来の本拠地は北ポルトガルです。北部ポルトガルの中心地ポルトの街の美しい風景は、「魔女の宅急便」のモデルになりましたが、「家宝」にも何度も登場しました。その同じアングルと思われる場所は丘の上の修道院から歴史地区の街並を見下ろすショットでしたが、これは夕暮れに絶景となり、あまりの美しさに涙を流しそうになるほど。「ちーいさーなころーはー」と一人、口ずさんでいました。

そしてさらに「家宝」に何度も登場する、ドウロ川沿いを走る列車に乗ってブドウ農園を訪ねたりもしました。思ったことはオリヴェイラの映画に登場する、やや時代錯誤的な世界、中世的な人々や、ラテンとは思えない暗い雰囲気はしかし今なお続くポルトガルの現実のようです。そしてそれこそがこの国の魅力だと思いました。ポルトガル観光局ももっとオリヴェイラ映画を世界に売り込めば、みんな訪れたくなるに違いないのになぁ。